令和元年(2019年)11月 NO.10

日本忌部紀行 “忌部(INBE)を行く!”

忌部文化研究会 会長 林 博章

 会員の皆さまには「忌部」の足跡を楽しんでもらう目的で、“忌部を行く”を連載しています。阿波国(粟国)を拓き、日本各地の創生に活躍した阿波忌部の足跡を辿っていきます。中でも阿波忌部が麻を植えて拓いた故事にちなむ旧麻植郡(現在の吉野川市)の伝承地を紹介したいと思います。第10回は「山崎八幡神社」です。

山崎八幡神社 ~忌部宿禰須美の屋敷跡~

●場 所 - 吉野川市山川町宮島
●祭 神 - 品陀別命・伊香我色雄命(いかがしこおのみこと)・比売大神(ひめおおかみ)


山崎八幡神社の社殿
 JR山瀬駅の東にある踏切を南へと渡り、さらに東へ200mほど歩くと「山崎八幡神社」に辿り着く。旧社地はJR線路より北へ約100m、旧街道沿いの「粟飯原金物店」隣の畑中にあり、「古八幡神社」と呼ばれる小祠が祀られている。室町期の宝徳4年(1452年)に社殿が造営され、それ以前は、『続日本紀』に見える「忌部宿禰須美(いんべすくねすみ)」が、忌部山の白山から下山して住居を定めた屋敷跡であったと伝えられている。『阿府志』には、「八幡祠山崎村に在り」、『寛保改神社帳』には、「山崎村八幡宮、神主東川田村中川民部」とある。明治11年(1878年)には「忌部神社」の摂社ともなった(但し、明治15年に村社となった。)。

古八幡神社の小祠
 社殿の西脇には、事代主(ことしろぬし)神を祀る「恵美須(えびす)神社」が祀られている。これは神社西側の踏切の側にあった「夷(えびす)神社」を移遷させたものである。境内西側には、盃状穴が穿(うが)たれた約1m四方の板石が置かれているが、その下は「山崎七軒七方泉」と地元で称された「忌部七井戸」の1つであった。社殿東脇には、樹齢数百年ともなる大銀杏が聳え、国道192号沿いからでも眺めることができる。忌部の里を訪れる際には、この大銀杏を目印に「山崎八幡神社」から旅を始めてもらいたい。


境内に祀られた「恵比須神社」