令和2年(2020年) 4月 NO.21

日本忌部紀行 “忌部(INBE)を行く!”

忌部文化研究会 会長 林 博章

 会員の皆さまには「忌部」の足跡を楽しんでもらう目的で、“忌部を行く”を連載しています。阿波国(粟国)を拓き、日本各地の創生に活躍した阿波忌部の足跡を辿っていきます。中でも阿波忌部が麻を植えて拓いた故事にちなむ旧麻植郡(現在の吉野川市)の伝承地を紹介したいと思います。鴨島町編の7回目は、牛島の「小原」です。

牛島の小原(麻原)

●場 所 - 吉野川市鴨島町牛島字小原

 飯尾川の北岸、「麻塚神社(おづかじんじゃ)」の東に広がる水田地帯は[小原(おはら)]と呼ばれている。『鴨島町誌』は、かつて「麻原(おはら)」であったと伝え、その由来は阿波忌部が麻を植え殖産した麻畑にあったと見られる。阿波忌部が渡来したと伝わる千葉県館山市「安房神社」の北にも[小原]の地名が残され、それは『和名抄(わみょうしょう)』にある安房(あわ)郡麻原(おはら)郷の比定地であった。