9月初旬、つるぎ町貞光の吉良の「忌部神社」を世話する忌部神社会は、新紋であるカヂ(榖)を「忌部神社」の境内地の側に植樹するとともに、記念碑を建立した。つるぎ町は、当地を拓いた阿波忌部族が祭具となる麻や榖を晒した伝承から木綿麻(ゆうま)の里と呼ばれた。貞光川は別名を木綿麻川と呼ぶ。その起源は天岩屋戸神話で天照大神を岩戸から引き出すために準備された真榊に懸けられた青和幣(麻布)、白和幣(榖の布・木綿)にある。木綿麻川上流には、「忌部神社」の奥社となる「天磐戸神社」もあり、神話起源の伝承地ともなっている。


 吉良の「忌部神社」の神紋は榖葉であるが、すでに吉良では榖文化が失われていた。その記憶を復活させようと、研究所メンバーが穴吹町から榖の原種の種を拾い、自宅で芽を葺かせた。ある程度、苗が大きくなったところで、吉良に移植させた。家賀の再生、宿泊施設の建設とあわせ、いよいよ忌部の里の復興物語が開始される。